コア技術 CAE解析
CAEとは
構造物の変形計算である材料力学、および水や空気の流れの計算である流体力学はコンピュータの性能向上に伴って進化を続けてきました。これら固体、液体、気体の動きを計算する工学系シミュレーションはCAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれ、プラスチック製品の開発においても積極的に活用されています。製品の製造では、溶融したプラスチックを金型に流し込む等の様々な手法を経て形作り、その後に冷やして固める工程に進みます。この金型の製造には時間もコストも要するため、種々のアイデアを試したい開発の初期段階においては、特にCAEを活用して構想を煮詰める必要があります。
例1. CAEによる食品容器の設計
ポリプロピレンは多様な分野に用いられるため、シミュレーションの対象も幅広くなりますが、一例として食品容器に力を加えた時の変形の解析をお示しします。製品の外形デザイン、容量、肉厚、フランジ部分の形状などを検討し、事前に最適な構造を見出してから金型起工、試作評価を行うと、金型の作り直しなどトライアンドエラーの回数が減らせて、開発工期の短縮に繋がります。
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例2. 自動車ラジエターにおける冷却ファンやヘッドランプを組み付ける骨格となる樹脂フレーム検討事例
次に、自動車のラジエターにおいて冷却ファンやヘッドランプを組み付けるための骨格となる樹脂フレームを例にCAEでの検討事例を考えます。
第1段階 / 剛性・強度規格を満たす最適な製品構造
まずはエンジンルームの中で与えられた設計スペースに部品を収めつつ、剛性・強度の製品規格を満たす構造を検討します。
剛直な壁への正面衝突における歪
ボンネット開閉での応力
第2段階 / 成形方法の検討
金型設計、成形機と成形条件の推奨、成形不良予防策の提案
製品構造決定後は、冷却管やゲート配置の検討を行い、金型設計を仕上げます。冷却管配置は製品を均一に冷やす様に配慮され、ゲート配置はショートショットやウェルドを抑制する様に工夫されます。反り変形も事前予測され、品質の高い製品が得られます。日本ポリプロでは解析精度の検証も行い、信頼性の高い設計支援に繋げています。
冷却水温度
溶融樹脂の流動時間
充填完了時の圧力
必要型締め力
ウェルド
我々はCAEを活用し、剛性・強度規格を満たす製品構造、生産性の評価を行い
お客様との対話を通じて、最適材料をご提案いたします。